
今回は取引先の管理職や元請け業者の監督者からセクハラのような行為を受けた場合、直属の上司などからの行為と同じようにセクハラと言えるのかどうかについて見ていきたいと思います。
★目次(もくじ)
セクハラの定義
セクハラの定義については、『男女雇用機会均等法』という法律により、
①職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、
②それを拒否するなどの対応により解雇、降格、減給などの不利益を受けること
③又は性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に悪影響が生じること
とされています。
その他のセクハラの定義に関する詳細はこちらで確認できます。
https://shainnokimochi.com/article-sekuhara01/
直属の上司、部下以外からでもセクハラと認められるのか?
取引先や派遣先などで、セクハラに該当するような行為があった場合、それはセクハラと認められるのでしょうか。
答えとしては、当然セクハラと認められることとなっています。
セクハラの定義の中の
①職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、
という項目では、『職場において、労働者の意に反する』ということになっていますので、どのような職場であっても、どのような労働条件、立場の違いがあっても、セクハラと認められるということになっているわけですね。
セクハラと認められた判例
では、実際に裁判でセクハラが認められた例を見ていきます。
ただ判例では、上司と部下以外のものがほとんど存在していないため、ここでは上司と部下間の判例を見ていきますが、
この上司と部下間の関係を取引先や派遣先などに置き換えて認識していただければ問題はありません。
タクシー会社に勤務するXが上司Aから次のセクハラを受けたと主張。
(1)外食の帰り、車中でキスをされ、スカート内に手を入れられた。
(2)合計6回の肉体関係を強要された。
当該タクシー会社は同時期にXを運行管理者からタクシー乗務員に配置転換したため、Xは会社から退職するよう仕向けられていると感じた。
また、Xは精神疾患を有しており、人事担当者との話し合いの際に急に暴れ救急車で運ばれたりしたため、懲戒処分として、14日の出勤停止となった。
Xはセクハラと退職強要を理由に慰謝料を請求し労働審判を申し立て会社側が非を認め和解となった。
タクシー会社で内勤をしていたが、上司のセクハラに対する告発を会社に行ったと同時期に乗務員へ強制的に配置転換がなされた。
このようなことが原因とする精神疾患による不安定さを理由に、会社から出勤停止を命じられ、これが会社の報復であると感じ裁判を起こし、会社が非を認め和解金を支払うことで決着したものです。
質屋を経営する会社に勤務する女性従業員Xが、同社社長Y1及び勤務先店長Y2からそれぞれ別々に性行為・性交渉を強要され肉体的・精神的に苦痛を受け、
また同社会長から心無い物言いをされたり、怒鳴られたりし、肉体的・精神的に苦痛を受けたとして、Y1及びY2並びに使用者たる会社に損害賠償を求め認められた
勤めていた会社の社長と店長と、それぞれ別々に性行為などを強要され、心身ともに苦痛を受け、それを放置していた会社に対してもその責任が認められたというものです。
水族館を経営する会社で、同社の中間管理職X1(マネージャー)及びX2(課長代理)の2人が、女性従業員に対し、自身の不貞の話、性生活の話、
「結婚もせんでこんな所で何してんの。親泣くで。」や
「もうお局さんやで。怖がられてるんちゃうん。」などという発言、
(具体的な男性従業員の名前を複数挙げて)「この中で誰か1人と絶対結婚しなあかんとしたら、誰を選ぶ。」(といった発言など)が
セクハラであると認められて、X1及びX2は出勤停止の懲戒処分及びそれに伴う降格処分となった。
これは、当該加害者に対し女性側が明確な拒否の意思を示せていなかったケースであっても、その言動がセクハラにあたると判断された稀なケースです。
セクハラにあった場合には、まずは明確に拒否の意思表示をすることが原則であり、重要ですが、このように明確に意思表示ができなような人もいるとは思いますし、
万が一そのような人であっても、客観的にセクハラ行為であると判断できれば認められるということが明らかにされたとても良い判例だと思います。
万が一セクハラにあったら、我慢や泣き寝入りなどはせず、まずは相談から始めていけると良いと思います。
セクハラの相談先についてはこちらにて確認できますので勇気をもってまずは行動をしていきましょう。
https://shainnokimochi.com/article-sekuhara01/