
今回は労働者として働いていれば必ず控除(引かれて)され支払われているもう一つの税金『住民税』について書いていきます。
現状では、会社員であれば会社側が給与支払い時にこの『住民税』も控除しておくこととされています。
住民税を滞納した場合などの徴収はとても厳しいものです。必ず控除されているか確認はしておきましょう。
★目次(もくじ)
会社員の『住民税』とは
この『住民税』とは、都道府県民税と区市町村民税をあわせもので、個人の場合は「個人住民税」(以下、『住民税』と呼んでいきます)と呼ばれています。
都道府県や区市町村が行う住民に対する行政サービスに必要な経費を住民の所得等に応じて分担する目的で徴収する税金です。
『住民税』には、次のものがあります。
①所得割・・・前年の所得金額に応じて課税されるもの
②均等割・・・定額で課税されるもの
③利子割・・・預貯金の利子等に課税されるもの
④配当割・・・上場株式等の配当等及び割引債の償還差益に課税されるもの
⑤株式等譲渡所得割・・・株式等の譲渡益に課税されるもの
*各項目の詳細については以下で確認できます。
会社員であれば、主に①所得割と②均等割の負担となると思います。
なお、
①所得割とは・・・前年の所得金額に応じて課税されるもの
②均等割とは・・・住民が一律で均等に課税されるもの(都道府県民税の税額は1,500 円、区市町村民税の税額は3,500 円)
を言います。
この『住民税』は、1月1日現在に住所がある区市町村が都道府県民税と区市町村民税を徴収することになっています。
『住民税』計算方法
『住民税』の計算は以下のように決められています。
計算式:①前年度の課税所得額(1年間)×10%
現在は原則としてどの区市町村の住民税率も10%ですが、一部異なることもあります。
そして、具体的な数値は以下のように決められており、所得額から控除額を引いたものが、①課税所得額となります。
所得額(給与所得) | 控除額 |
162万5,000円以下 | 65万円 |
162万5,000円超180万円以下 | 収入金額×40% |
180万円超360万円以下 | 収入金額×30%+18万円 |
360万円超660万円以下 | 収入金額×20%+54万円 |
660万円超1,000万円以下 | 収入金額×10%+120万円 |
1,000万円超 | 220万円 |
自分の『住民税』(1年間)を知りたい場合には、上記の式に数値をあてはめて計算すれば導き出せます。
『所得控除』となるもの
そして『所得控除』には次のようなものがあります。
控除対象扶養親族が何人いるのか、病気や災害などによる出費があったかなど、個人的な事情などによる、現在13種類の所得控除があります。
1.雑損控除
2.医療費控除
3.社会保険料控除
4.小規模企業共済等掛金控除
5.生命保険料控除
6.地震保険料控除
7.障害者控除
8.寡婦控除・寡夫控除
9.勤労学生控除(26万円)
10.配偶者控除
11.配偶者特別控除
12.扶養控除
13.基礎控除(33万円)*令和3年度分以後、10万円引き上げられます。
*各項目の詳細については以下で確認できます。
会社員の方であれば、上記で色を付けた生命保険料の支払い証明書などは身近なものではないかと思います。
『税額控除』となるもの
『税額控除』というあまり聞きなれない言葉が出てきましたが、この『税額控除』とは算出した住民税額からさらに差し引くことができるというもので、次のような『税額控除』があります。
(1)配当控除
(2)外国税額控除
(3)寄附金税額控除
(4)調整控除
(5)配当割額及び株式譲渡所得割額の控除
(6)住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)
*各項目の詳細については以下で確認できます。
非課税の範囲(住民税)
そして『住民税』の非課税の対象は以下のように決められています。
1.所得割・均等割とも非課税となる場合
(1)生活保護法による生活扶助を受けている方
(2)障害者・未成年者・寡婦(寡夫)で、前年中の合計所得金額が125万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4,000円未満)の方
(3)前年中の合計所得金額が区市町村の条例で定める額以下の方。なお金額については住所地のある各区市町村のHP等にてご確認ください。
2.所得割が非課税となる場合
こちらは所得割のみ非課税の対象となる方となり、以下に該当する場合です。
前年中の総所得金額等が以下の金額以下の方
①同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+32万円以下
②同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合
35万円以下
『住民税』の計算はやや複雑ですので、以上参考になれば幸いです。